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「SA GA LAND」制作の決定と道のり(その1)

さっそく制作する作品を決めるため東京に向かいました。
いくつかある脚本を飛行機の中で見直しましたが、イメージしやすいものから技術的に高そうなもの、現実的でないと思われるものと様々。

その日の夜、監督と会議をし、一番面白くて一番ハードルが高いと思った脚本に決定しました。
そう、それが「SA GA LAND」です。

ハードルが高いなと私が心の中で思った理由。
・撮影までの期間と時期
・撮影場所の確保
・手配物の多さと内容
・キャストの多さとダンス
・撮影手法
・資金
とたくさんありました。

第1のハードル・撮影までの期間と時期』

制作を決めたのが6月、「LA LA LAND」がヒットしたのは2月で、旬は今年いっぱいだろうと判断。
つまり遅くとも12月に公開するとして、公開準備を考えると11月には撮影しなければなりませんでした。
場所や準備物、キャストの確保にダンスの練習。オリジナル音楽の作成期間や脚本の練り直しなど、撮影への段取りを練っていく段階で準備が大変な量だと分かってきました。
しかも監督も我々も通常業務の合間で行っていかなければならず、ハレノヒにおいては2号店「呉服元町店・レミネス」のオープン準備と並行です。
さらに11月に撮影となると写真館にとって超繁忙期。祝日にスタッフが抜けるということは、売り上げがウン十万円減ってしまう恐れもあります。なのでできれば9月中に撮影したいと考えていましたが、2~3ヶ月では到底無理でした。

ここでも覚悟を決め、「とにかくやろう!!」ということに。

第2のハードル・撮影場所の確保』

「LA LA LAND」を見たことがある方はお分かりかもしれませんが、高速道路を封鎖してとても広い場所で撮影をしています。
しかし向こうは映画制作の本場ハリウッドを擁するアメリカ。撮影に理解があるでしょうし何百人のスタッフと制作費は全体で37億円です。
一方のハレノヒは映画制作の実績も県や市からの発注という後ろ盾もない、ただの小さな写真館です。

さあ、場所をどうする?
ここが決まらないと撮影日の決定はおろか、そもそも撮影ができません。

まずは企画書を作り、我々が何をしたいと思っているのかが相談相手にわかるように準備をします。
ここで一番力を発揮したのが本家「LA LA LAND」の映像
企画書の文章で読んでも理解しにくい映像の世界を、「この佐賀バージョンを撮ろうと思ってます。」と伝えるだけで話が早くなりました。

あとやっぱり伊野瀬監督の実績は大きかったと思います。
『今年大ヒットした、あの「シン・ゴジラ」で助監督をしていた男が監督します!』
と言うだけで、この企画の信用度がグンと高まりました。

企画書や資料の準備を終えた私は、ちょうどその頃タイのドラマ撮影の仕事でお世話になっていた県のフィルムコミッションさんにアドバイスを求めに。

そして出てきた候補地は3つ。
・吉野ケ里歴史公園
・有明沿岸道路の工事中区域
・東与賀の海岸シチメンソウ群生地
です。

まず吉野ヶ里歴史公園。
「日本の古代を感じられる竪穴式住居や綺麗な緑の公園、敷地が広く気球の大会も行っている実績あり。もしここで撮影できてその映像を見た人は、きっと綺麗なこの場所に来たくなるだろうな。」そんな思いで候補にしました。
7月、吉野ケ里遺跡にアポイントを取り担当者さんと面談。(ちなみに吉野ケ里遺跡は県だけでなく国土交通省の管轄でもあります)

後日連絡があり、結果はNG。
理由は「今回の企画が映像ということで、車が公園内にあることが映像に残ることで、公園が持つ弥生時代のイメージを壊さないようにしたい。」という内容の回答でした。
それぞれのお仕事があります。納得です。話を聞いてくださっただけでもありがたいと思いました。

次は有明沿岸道路。
「高架になっている幹線道路で、「LA LA LAND」のオープニングイメージにぴったり。現在整備中で使われていない区間が田園地帯にあり、ここで撮影できたら奇跡だ!」だと思いました。

有明沿岸道路についてはフィルムコミッションさんが道路整備事務所に連絡をして下さいましたが、あえなくNG。回答は「安全上の理由」でした。当然納得です。

そして最後の砦、シチメンソウ群生地。
「有明海とシチメンソウ、そして佐賀平野が見渡せる美しい場所でとても佐賀らしい風景です。道路も生活道路ではないため撮影に集中できそうだな。」と思いました。
ここも同じくフィルムコミッションさんが、はじめ管轄する佐賀土木事務所さんに問い合わせて下さったのですが、
回答は……「詳細を聞いてからの判断」
光が見えた瞬間でした。

アポイントを早速取り、面談です。
ここで大きな奇跡が!
担当してくださった方が以前自分でこのような動画を企画した経験がある方だったのです。

おそらくですがそんな経験からも我々のやろうとしていることを素早く理解してくださり、「このような書類を作ってください」と親身になってアドバイスしてくれました。

自分が管轄する場所以外で行う撮影です。フィルムコミッションさんといい、土木事務所さんといい、このような活動を理解をしてくださる方たちが行政側にいて下さったことは我々にとって、とてもラッキーなことでした。

申請に必要な準備を進め、書類が揃い占有許可の決定にめどがついたのが9月。
撮影日も11月中旬の土日と仮決定です。
こうして、この動画制作における前半の大きな難関、撮影場所と撮影候補日を決定することができたのです。

(続く)